涙の雨

その時、すぐ隣にあった車体から


カップルが俺達の事をマジマジと見つめてるのが、視界に入ってきた




「先輩見られてますよ!」

「―そんなの関係ねぇよ」


パニックになる俺を嘲笑うように

全く態度を変えない山田





―嘘だろ?

こんな所で…!?



後ろに下がりたくても

壁に背中がついていて下がれないし



空の上にいる俺が

ここから逃げれる訳が無い



―尚輝さんだったら


絶対こんな事しないのに!




そう思った瞬間




俺の口は


山田の唇で塞がれた







「…やっ!先輩…っ!」


キスをされながら

カップルの視線を痛いほど感じた



物珍しいそうに見つめる姿


たぶん

キャーキャー騒ぎながら見てたと思う




「しょうがねぇだろ、遼太が好きなんだから」



そう言うと

山田は更に深いキスを求めてきた



手には汗がにじんできて

体も一気に熱くなってくる


「あっ…!」


逃げ場の無い俺は
どうする事も出来なくて



ただ山田のキスを受けるしか他なかった
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