涙の雨

「この前も言ったろ?遼太の事待ってるって。別に無理に用事を作らなくたって、いつでも来ていいんだよ?遼太だけは」


俺の心の内を見透かしたように言った望月



ホントは保健室の前を通っては

先生、今何してるのかなって
ずっと考えてた




だけど中に入る勇気が


あの時の俺には無かった



「ホントに俺だけ…ですか?」

望月の声を聞いただけで

心臓がドキドキしてる




また…


思い出してしまう


「もちろん」
「―また遊びに行ってもいいですか?」



「遼太なら大歓迎するさ」




その言葉が胸にジーンときた


自分は特別なんだと

改めて思えたから





たくさんの人間が行き交う駅前で

一人にやけながら電話する俺



周りからみたら
変な目で見られてるかもしれないけど


俺はそんな事全く気にせずに望月と話していた





だって嬉しかったから



“好きなものは好き”








望月との電話を切った後

自然と心が温かくなっていた




ふと空を見上げると


綺麗な黄昏が目に飛び込んできた
< 26 / 195 >

この作品をシェア

pagetop