涙の雨
地元の駅に着いて
地下の専用駐輪場に繋がる階段を降りようとした時
突然俺の携帯が鳴った
慌ててカバンから取り出すと
待ち受けには知らない番号が表示されていた
基本的に知らない番号は出ない主義なので
電話を出る事に正直迷っていた
だけど着信は止まらず鳴り続けて
俺は渋々電話に出ることにしたんだ
「…もしもし?」
少し引き気味で話す俺
「遼太?…俺だよ」
「―先生!?」
電話の相手は望月だった
「何で俺の番号…!」
望月には番号はもちろん
メアドすら交換していない
俺はあまりにも驚いて
慌てて階段を駆け上り電波のいい地上に出た
「急用なんですと言ったら、小林先生はあっさり教えてくれたよ」
小林とは俺のクラスの担任
これじゃ…まさに職権乱用だ
「それに遼太の声、今日一回も聞いてないよ?保健室遊びに来てくれないから」
望月は優しい口調で言った
きっと電話の向こうで笑ってるんだ
「だって…俺、遊びに行くったって…」
俺は普通の生徒
何の用事がなければ、行く必要も無いのだ