涙の雨

“放課後いつもの場所で”


昼に届いた一通のメール


相手はもちろん望月


「遼太!帰りマック寄っていかね!?」


一日の授業が終わり

下校時間になると賢二が声をかけてきた



「わりぃ、ちょっと行く所あるんだ。マックは明日行こうな!」


帰り仕度をしながら
隣にいた賢二に言った俺


そして


「ちょっ…!遼太!」



呼び止める賢二を振りきるように

俺は急いで教室から出て行った





―いつもの場所で尚輝さんが待ってる





胸がドキドキして
会える事が嬉しくてたまらない


俺は廊下を走りながら

階段を二段飛ばしで降りる



早く声が聞きたい

早く姿が見たい




気づくと
頭の中は望月の事でいっぱいだった


メールだけじゃ相手を感じられない



直接会って

その存在を肌で感じないと
恋人同士になった意味が無いから










ものの数分で
いつもの場所に着いた



“不在中”



それは俺を待ってる証



にやける顔を慌てて普通の顔に戻しながら

大きく深呼吸をする俺



そして

ゆっくりと引き戸を開けた
< 45 / 195 >

この作品をシェア

pagetop