涙の雨

あの日以来

俺は望月と少し距離を置いていた



電話もしてるし保健室でも会ってる


なのに



何か寂しくて





望月との間に、見えない大きな壁みたいのがあるような気がしてたんだ












「遼太、クリスマス何してる?」
「―え?」



放課後、保健室に遊びに来た俺に

望月が声をかけてきたんだ



「クリスマス。何か予定入ってるの?」


立っている俺のすぐ横にある

色んな道具が入っている棚で作業している望月が言った


「あ…俺は特に…」


隣に望月がいるのに

何故か背を向けてしまう



―何やってんだ、俺





いつもだったら

自分から進んで休みの予定を立てるのに



この日は何故か気分があまり乗らなかった



望月もたぶん何か変だなって
絶対思ってたと思う





「…遼太」






その瞬間



後ろから望月が抱きついてきた




「まだ…怒ってる?この前の事」


耳元で囁く望月



でも俺の体は硬直したまま
全く動かない




好きな人が抱きしめてくれているのに







何も感じない…自分
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