Sin(私と彼の罪)
「ちょ……」
「放さない」
顎をつかまれて、唇が触れそうなほど近くなる。
吐息が私の唇を擽る。
ああ、もう。
至近距離で見つめられたら、どんな女だって彼に身を委ねるだろう。
小さい宇宙みたいな、黒に捕らわれる。
この瞳が、愛しい。
「お前は俺のもんだ」
彼が愛しくて、しょうがない。
「…一生な」
愛しくて、しょうがない。
「………っ」
彼はそのまま私の服に手を掛けた。
手慣れた動作で、されるがままになってしまう。
「ま、待っ………っ!」
そんな私の言葉なんて聞きもしないで息もつかないような、キスをする。
彼の舌が全てを絡めとって、文字どおり放してなんかくれない。
口の端から唾液が零れるのを感じた。
「黙ってて」
そう言って彼は私の頬に零れた唾液を舐めとる。
細くて角張った指が、体に触れるたびにぞくり、と反応してしまった。
その甘美な動作に私の熱はどんどんと上がっていく。
それもその様子を、時折観察するように見下ろすから、たまったものじゃない。
「…!…っ……ん」
上がった息を整える暇も与えてくれない。
本当、自分勝手な男。