Sin(私と彼の罪)
俺は、何度罪を犯せばいいのだろうか。
彼女の罪と、どちらが重いのだろう。
そんなこと、比べるまでもないか。
そもそも、どこから俺たちは間違えたのだろうか。
原罪は、どこだ?
どうして…………
くそ。
今さら悔やむなんて、そんなことは馬鹿げている。
俺らしくもない。
ただ、彼女が幸せでいられるならば。
生きているならば、俺はそれだけでいい。
もう一度彼女の髪を掬った。
ゆるやかなそれを日に当てる。
手の内から、さらさらと髪がこぼれ落ちる。
何を考えても、無駄なのだ。
一からやり直すことなんてできない。
だから、隠したのだ。
シノは、何も覚えていない。
やがて規則的になった彼女の息を聞いて、ほっとする。
柔らかな頬を撫でながら、そっと口付けをした。