インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

第4章/第5節  愛は狂気

さっきまで小降りだったのに、いまでは大降りになってる。



ひかりのピンクの傘に一緒に入ると、細心の注意を払いながら駅を目指した。



それらしい
男の影はない。



それにちょうど
目の前には
駅に通じる地下通路の入り口。




助かった。



ここまで来れば
もう大丈夫。



あとは
駅の雑踏にまぎれて、
こないだみたいに
電車に飛び乗って帰るだけ。



その一瞬の気の緩みがいけなかった。



あっ!



……。



階段の途中。



足を滑らせ転倒した。



傍目には、
この雨で滑りやすくなってて、

それで階段から転げ落ちた、

そう映ってもしかたのない状況だった。



が、
背後にすっと忍び寄った
ただならぬ気配を感じたし、

背中を押された
その感触はまだ残ってた。



「う、うっ~……」



ひかりともつれ合うように転がり落ち、

そして
折り重なるように倒れてた。
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