インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
「そのくらいかすり傷だよ。どうせこれから病院行くんだし」



右腕。



擦りむいたのか、
少し血がにじんでる。



それに
骨でも折れているのか、
痺れたようになって
あまり感覚がない。



「それよりさぁ、ひかりって案外重いな」



「もぅ~、また意地悪をいう~、じゃあ、降ろしてください」



ひかりが
かるくばたつく。



「あっ、こらっ、じたばたすんな」



絶対離さない。



両腕両足に
ありったけの力をこめると
歯を食いしばって階段を上がった。



地上に出てたとき、
雨はやんでた。



それから
二、三歩歩いたところで、
あたしは力尽きた。
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