インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
そう。



過ぎ去った日には
もう二度と戻れないし、

そのときの
痛みは
傷は
もうどうすることもできない。



もし
それを癒すとするならば、

その方法は
ただひとつ。



振り返らず、
いまを強く生きる。



それしかないのだ。



しかし、
おかしなもんだ。



そもそも本来なら、
こんな場所に戻ってくることはおろか、

この地域一帯に
足を踏み入れるのも
嫌がったはず。



あの悪魔に
見つかったらどうしよう。



連れ戻され、
またあの地獄の日々を送るなんて

死んでもイヤ。



そう考えるのが
ふつーだ。



そんなリスクを犯してまで、
なにもわざわざ
こんな辺鄙なところまで
来たりしない。



ところが違った。



その心配は
まったくなかった。
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