インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
だけど、
さし障りのない質問だけど、
その答えまでは
予想してなかったみたい。



「そうなんですかぁ」と消え入りそうな声でいうと、ほかに言葉が見つからないみたいで俯いた。



これはまずいと、
あたしは
フォローする意味でいったんだけど……



「お子さんは?」



「とうとう生まれなかったよ。子供でもいりゃあねえ、また違った人生だったんだろうけどね……」



おばちゃんは
笑ってそういったけど、
どこかぎこちなかった。



あっちゃ~
逆効果だったかも……





ビール。



おかずには
あまり手をつけず、
おばちゃんはさっきから
そればっかり。




グビグビ……。



それから
しばらくの沈黙の後、
おばちゃんはいった。



「あんたら、あたしの子供にならんかね」



「え?」



あたしたちふたり
おばちゃんのその言葉に
耳を疑った。
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