お前のためなら死んでやる

泣きやんだ五十嵐を見て安心したら、病み上がりだったからだろうか、睡魔が俺をおそった。

五十嵐の温かさを感じた瞬間、ふと昔の少女を思い出す。

『……が、側にいるからね』

俺も言いたくなった。

小坂が言った。五十嵐が俺に似てるって。

俺が五十嵐に言えば、五十嵐も変われるって思ったんだ。
「泣かないで。

俺が側にいるから。」

そこで意識はなくなった。

なんでか涙が出た。

あの時の瞬間が、今、時をこえて、また俺を孤独から救ったんだ。

五十嵐も孤独なのかな?

だったら俺がお前を助けてやる。

お前が俺を嫌いで、
俺を殺したいって思って、
俺が命を失いそうになっても、
それでも死なない。
だって俺はお前のために生きたいから。

この命、お前が望むならあげてやる。


【お前のためなら死んでやる。】


でもいつか、俺を好きになって?

…愛を知ってほしい。

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