Sin〜AfterStory
「今日はテスト問題の清書か」
午前10時過ぎ。店が暇になった頃、八百屋の店主はワープロの横に置かれた原紙を覗き込んで尋ねた。
「んー」
こくんと頷くシンは真剣に画面を見つめている。
二ヶ月前、養護施設の施設長がシンにワープロをプレゼントしてくれた。
『ある程度の文を記憶させておけるので、筆談もしやすくなると思いますよ』
シンはワープロの使い方をあっという間に覚えた。その早さにジャックがついていけない程だった。
今では文を打つだけでなく表やチラシも作れる。勿論、時間は普通より何倍もかかるけれど。
一番最初に登録した言葉は『ジャックお腹空いた』。それを見てジャックが大笑いしたんだと、シンは店主に嬉しそうに愚痴っていた。