Sin〜AfterStory
「進むぞー」

「ん〜」

街路樹の葉をそっと揺らす風が、眩しそうに空を見上げるシンの鼻先を掠める。

澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、シンは幸せそうに目を細めた。




「お、シン。おはようさん」

「あーょ」

八百屋の店先で、店主が早朝に入荷した林檎をカゴに入れて並べていた。

シンはジャックを振り返り、美味しそうだね、と一番赤い林檎を指さす。

あの林檎、お昼にお小遣で買おう。一人頷き、シンはいつも通り店の隅にある“指定席”に着いた。

年季を感じさせる古い木の机にジャックはシンの荷物を置く。これも毎日変わらない日課だ。

「ではよろしくお願いします」

「おうよ」

「シン、清書頼むな」

「うー」

任せとけ、と言うように握りこぶしをジャックに突き出し、シンは笑った。


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