Ne soyez pas desespere
思ったより狭い、世界


次の日、俺達は坂道のせいですごく疲弊しながらも、自転車をこいで頑張って裕の家に行った。


裕はもう坂道に慣れてるみたいで余裕の表情だったけど、俺と総は疲れ果ててしまった。



「お邪魔しまーす」


そう言って入った裕の家の涼しさに思わず倒れそうになった。


っていうか、広い……。


でかいなぁ……裕の家。


「総、陵、こっちこっち!リビングでアイス食おうぜー」


「サンキュッ!」


「助かったー!」


俺たちは出されたアイスをすぐに食べ尽くし、雑談をし始めた。


「俺はさぁ、2組の安藤なんていいと思うんだけど」


「そう?…俺は、部活の後輩の久谷が好きだなぁ…」


「陵は…?まだいい子見つけられてない?」


そう、こう聞かれたとき、いつも俺は困るのだ。


「…まだで悪かったな!!」


「ま、頑張れよ、いつか出会えるって!」


「何をどう頑張るんだよ?!」


「知らねえー!」


「っちょ、いつもの事ながら、ひでぇ!」


「はははは!」


と、その刹那。


ガチャン、とドアの開く音がした。


「裕のお母さん?」


「ん?あー……。今日は従姉が来る予定って言ってた気がする。でも来るのは朝って言ってたし忘れてるのかなーって思ってたけど…」


「従姉…?」
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