人魚のナイフ


だからあたし
思わず言ってしまったの

「好きです」

あなたが、好きです


あなたはその猫みたいな目を
ぱちくりさせて
数秒か、数分か、一瞬か
あたしを観察すると
鬱陶しそうに頭を掻いた

「君みたいにとろい子、苦手なんだ」

そう、一人言みたいに呟きながら


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