月の恋人



―――――――……





「……美しく、青き、ドナウ……か。」



覆いかぶさっていた涼の身体の向こう側から


突然響いた

艶のある低い声。



その甘い声の主は
ゆっくりと部屋に入ってきた。


間違える訳、ない。




現れたのは……





「……翔くんっ…」




差し込んだ西日が
金色の髪を照らし出す



さっきまで
あたしが探していた
同い年の、従兄弟だった。






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