月の恋人





―――…映画の続きを、見ているみたいだった。







「もう嫌っ……!!何回やり直しても、一緒よ!」


暗闇を引き裂く
甲高い、女性の声。



「ちょ………待てって……!!!」



そして

聞き覚えのある
甘い響き。





映画のワンシーンのように

スポットライトの下で縺れ合う、男女。





「………ゴメン、俺が悪かった…」



涙を溜める
キレイな…女の子。



「……もう、諦めてよ…」





――…それは

まるで

別れ話をしている
カップルそのもので――…






「………翔。」



続けて
女の子の口から放たれた名前に



あたしは

一気に、現実に引き戻されたのだった。






【アンダーグラウンド】終




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