月の恋人
――… 変なの。
なんか… 変だ、あたし。
小さな子供に戻ったような気持ち。
純粋に
素直に
ただ、ただ…たまらない愛しさが、込み上げてくる。
「…………ありがとう。」
そっと耳元に囁いて
涼の首に腕を回して
ぎゅっと、抱きしめた。
可愛い、愛しい、大切な
この世に、たった一人の
あたしの――…弟。
涼のくせっ毛に顔を埋めたら、おひさまの匂いがした。
「ちょっ……陽菜!」
「……え?」
「……っ…、暑いから。」
「あ、ごめんね。」
慌てて、首に回していた腕を、外した。