月の恋人
ずいぶん奥まで入り込んでしまったと思っていたのに、2ブロックも歩いたら、もう駅前の大通りだった。
ビルとビルの間に
駅前のマックが見える。
安心して、つい漏らしてしまった。
「あれ、もう駅なんだね。」
「あ?…そうだけど…ってまさか、オマエ道も分かってなかったの?」
「ううん?いま、分かったよ?」
「……うわ…信じらんねぇ………」
ガックリ、と
音がしそうなくらい首を前に落とす涼。
「……涼?」
ずっと前を見ていた涼が、くるりと後ろを向いた。
顔と顔がくっつきそうになる。
ドッキン
思わず、心臓が跳ねた。
「…これから、オレ抜きで外出禁止な。」
涼の目が、キラリと光った。
「……………え??」
「陽菜が出かける時は、俺もついてくから。」