月の恋人




「…………甘えろよ。」


だけど

そう言って
すっぽり、腕の中に包んでくれるから。


あたしは
大きな安心感に満たされてしまう。



「……涼…ダメだよ。」



――…甘やかさないでよ。

こんなに、居心地の良い場所、他にないんだよ。



甘えちゃうじゃんか――…




「……うるさい…口、塞ぐぞ。一緒にいてやるから……もう、寝ろ。」





――…涼って

まるで、毛布みたいだ。



優しくて

あったかくて

すごく、気持ちいい。






涼の胸に顔をうずめて

涼の匂いを胸いっぱいに吸い込んだら


ほっとして

すぐに、眠気が襲ってきた。









…………





「………気付けよ、ばか。」




―――――…夢を見た。


唇に触れた

柔らかい感触は


いつか、どこかで……



―――――――――――…










◆4◆
【オトウト】終






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