月の恋人







かくして、俺はタケルの罠に嵌った。

必然とも言うべき展開だったのかもしれない。



滑り出しは順調……と、いうか、もう止まらなかった。



声にならない言葉の代わりに
俺が紡いできた旋律は

タケルとジョージという増幅装置を経て、何倍にも広がっていく。



彼らは、俺が楽譜という平面に描いた世界を

現実という立体的な姿に変えてくれた。



重ねれば重ねるほど、
化学反応のように色を変えていく
音色の妙に夢中になった。




そこには、

無限に広がる、小さな宇宙があった。






【メロディフラッグ】 終







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