月の恋人
しばらくの間を空けて、亜美がゆっくりと口を開いた。
「陽菜はさぁ……
もうちょっと、自分に自信を持った方が良いよ。陽菜は気付いてないかもしれないけど、陽菜のコト、可愛いって言ってる男子って、けっこう多いんだよ?」
「…え………?」
“可愛い”―…??
聞きなれない言葉に
思わず、その場に固まってしまう。
「なんかウブっぽくてイイッって。」
「………」
ウブっていうか
男の子が苦手なだけなんだけど…
「なのに、陽菜は、どーも奥手過ぎる!ガンガン行けとは言わないけどさ。」
「せめて、その彼との距離を縮めるくらいは、頑張っても良いんじゃない?」
そう言った亜美が
真夏の陽射しを
全身に受けて、
『ガンバレ!』
右手をあたしに向けて
親指をピッと立てて
にっこり、笑った。