月の恋人







コォォ―…という音を響かせて


雲ひとつ無い青空に、

遠く、飛行機が流れていく。




残暑厳しい8月21日。




とうとう―…、この日がやってきてしまった。




今日は、朝からつき抜ける様な青空で。

容赦ない光が、あたしを照らしている。


避けどころのない直射日光に、緊張が高まった。





これでいい。

あたしは――…逃げない。




決意を胸に見上げた空に、横文字が踊っていた。



歩道橋の横断幕には「JTMF」の文字。

Japan Teen’s Music Festival

日本で一番大きな
若手ミュージシャンのためのコンテスト。


ブロックの決勝ともなると
さすがに規模も大きくて

キャパ3千人クラスの大きなライブ会場は、
朝から、黒山の人だかりとなっていた。




それぞれ、出場するバンドのファンなのだろうか。

あちこちで、
バンドのロゴ入りTシャツを着た集団や
水着みたいな格好をした人たち
○○魂、なんて気合の入った法被を着た人たちなど


音楽と同じく
グループによってカラーも様々だった。






「なんか…お祭り騒ぎだわね、こりゃ…」

隣にいるママが、気後れしたみたいに呟く。






そう。

あたしとママは、いま


『Another moon』が出場するコンテスト会場にいる。








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