月の恋人
けれど―…手を取り合って歌っていた翔くんの、指先が
痛いくらい、あたしの指先を掴んで震えていたのを…あたしは、忘れない。
すべてが終わったステージ裏で
痛いくらいにあたしを抱き締めて
「ありがとう」と、一言
絞り出すようにして言った、翔くんの涙まじりの声に
すべてが、込められている気がした。
ごめんね、翔くん。
やっぱり、あたし
まだまだ、甘ったれです。
でも、あのとき約束した通り
あたし、どんな形であっても
あなたの傍にいるから。
一緒に歌おう。
、、、、、
あたしたちの、歌を。