月の恋人



「…やっと、笑った。」



翔くんが、穏やかに微笑む。


柔らかな
甘い、笑顔。



あたしの大好きな

翔くんそのものの


人懐っこいスマイル。







「……翔くんも、やっと、笑った……」




――変なの。


ケンカした訳じゃないのに

ケンカの後の仲直りで

わだかまりが消えたような

不思議に
すっきりした感覚。



やっぱり、月夜の魔法だったのかもしれない。



どちらからともなく
見上げた空には


輝きを増す
白い月が


あたし達を包むように

光を放っていた。





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