不器用男子
 それから一週間…。


 何事もなく過ぎた。


 でも、ひとつの電話が本屋にかかってきた。


「もしもし。 秋谷書店です!!」

「あっ、もしもし~? 店長さん見えますかぁ?」

「私ですが…?」


 どこかで聞いた嫌な声。

 会いたくない声…。聞きたくない声…。


「桜だけどぉ~、ちょっとお話ししない?」

「……いいですけど…。」


 正直、迷った。

 行ったら何を言われるかわかんないし…怖い。


 でも、会って話をしたい気持ちがあるから…。

「じゃぁ、駅前の公園で待ってるからぁ」

 そう言って切れた電話。



 私はすぐにお店を出て公園へ向かった。


「…早かったわね?」

 腕と脚を組みベンチに座ってる桜ちゃん。

「話ってなんですか?」

「…簡単に言うと……千隼と別れて?」

「簡単に言い過ぎです…。」

< 206 / 244 >

この作品をシェア

pagetop