不器用男子
「宮内。 お前も早く帰れ。」

 千隼はまた桜ちゃんを冷たい目で見て私のところへ歩いてきた。

「大塚君ってどこにいるかな…?」

「わかんねぇけど、探せばすぐ見つかるだろ。」


 桜ちゃんを気にしつつも本の居場所を探した。


 校舎から外に出るとすぐに2人は見つかった。

「ひなみちゃん!! 本!!」

「あっ、ごめんね?」


 2人から本を預かると千隼に図書室へ案内してもらった。

「うわぁっ!! 大きいねっ!!」

「だろ? 俺のお気に入り場所」

 千隼は本を見てるときすごく幸せそう。


 その顔が好きで書店を始めた理由でもあるんだよ?

 千隼は知らなかったでしょ?


 図書室にいた先生に本を渡してもう一度校舎から出た。


「千隼…桜ちゃんとは結婚しないよね?」

「…してほしくない?」

 千隼ってたまにすごく意地悪。


 そういうとき私は顔を真っ赤にして答えちゃうのが癖になってきてる。

「…うん」

「顔真っ赤。 しないから大丈夫」


 いじわるした後は決まって口角をあげて笑うんだ。


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