手と涙 〜婚約者はピアノ講師〜
「あ、朱里!ごめん!!

瀧口が酔いつぶれて!!」


対する浩平は満面の笑みで

朱里を向き直ると

少し声を張り上げて現状を伝えた。


すると朱里は

はっとしたように笑顔を作り

浩平に軽く首を振った。


「じゃ柚、後でね」


笑顔でそう言うと

豊を抱えてその場を後にした。




ガラス張りで式場の

廊下が見渡せる構造のせいで

豊を運ぶ浩平と

その隣に自然に浩平に寄り添う朱里。


浩平を労わるように、すっと背に添えられた

朱里の華奢な手を見たとき

柚香の胸がちくりと痛んだ。








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