from Maki to Kazu.from Kazu to Maki
 ごめんなさい。こんな爪の垢みたいなこと。私らしくない。なんて。カズさんには強がらなくていいんだよね。ありがとう。カズさんを思い出した瞬間、私は泣きそうになった。私が唯一、心の痛みを洩らせる人。唯一、助けてと言える人。私は神に感謝した。カズさんと出会ったことに、感謝した。
 そう。。彼は、私の弁護士が「不成立で結構ですよ」と言ったことを聞いてから、また、私が「誠意の欠片も見えないのに金額的な交渉で歩み寄る気にはなれません。自分の否を認めるならともかく、大事なお金を持っていったのに私を責めるだなんて」の言葉を聞いてから、一転した。
「本当に悪いと思ってるので、金額を下げてもらえませんか?」
ちゃんちゃん。
> 僕の前では無理する必要はないから。
> 昼間の携帯へのメールにしても
> 僕にとっては心配な反面ある意味で嬉しい事でもあるから。。
> (言葉の選択が間違っていたらごめんなさい)
 カズさんの慎重に選んでくれたであろう言葉を、自分には勿体ないことと思う。ありがとう。言い切れないよ。ありがとう。こんなに、大事に思う。こんなに、を示せないのが淋しいけれど。
 怖かったの。自分が。取り乱した自分が。調停室を出て、彼と交代する為に私達が申立人控え室に向かうとき、後ろから呼ばれたような気がして振り返ると、廊下に彼と彼の弁護士の姿があったの。歩を停めた私の手は強く握られてた。私ね、考えもなしに彼を殴りたかったのだと思う。弁護士が私の腕を触って言った。
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