こっち向いてよ

花梨が冗談まじりに言うと、一ノ瀬先輩は片手で髪をかきあげた。


「大した事ないよ、私より可愛い子なんて沢山いるし。」


苦笑しながら言ってたけど、そんな恵まれた容姿があるんだから謙遜することないのに…


「それに…」




ふわりと春風が吹き渡ったと共に、

思い通りに行かないことばっかり!!

と言った一ノ瀬先輩の顔が、すごく切なそうで、目を離せなかった。


それから、一ノ瀬先輩が「じゃあ」と立ち去るまで、あたしはきっとすごくマヌケな顔をしてたに違いない。
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