彼が猫になる
そうそう

人生最後の合コンは

結構楽しめた

彼とヒメっちと

出会ったテンションのまま行った

結局20分の遅刻

走って店に行ったから

息切れして

ちょっと皆にはビックリされたけど

店内は薄暗く

スカートがドテドテなのも

緩和された

相手は三人

薫が言ったように

ノリがいい人ばかりで

大好きなお酒が進んだ

しかも社会人てこともありか

大学生みたいな

コールも無いし

日本酒とか飲んじゃって

のんびり笑いありで

話の内容も

大人びた会話で

知らない事一杯知った

誰もあたしに

彼氏がいるとか

聞いてこなかったし

彼女目的っていうより

ただ飲みたい集まりだった

こういうのいいなぁ

調子に乗って

結構呑んじゃったから

二次会のカラオケには

参加しないって言った

「えーー」

とか言われながら

でも特別狙われてる感も無し

そうか残念だぁ

とか軽い言葉が行き交う

どうでもいい

楽しかったから

でも帰り際

斜め横に座ってた

一人の男性が

携帯番号をくれた

「また呑みにこっ」

爽やかに渡された

ってか名刺じゃん

とか思いながら

あまり読まずに鞄にいれた

じゃあねぇ~~

皆と別れてから

歩いて帰る

ほろ酔いで

歩いて帰るのがスキ

酔ってるから

発見する新しい町の景色が見えるから

一駅くらいだし

たいした距離でもない

あたしの頭ん中は

合コンの事より

一護の声が響いてる

「またなっ!」

って言ってた

番号ぐらい交換しとけば良かった

家がドコとか肝心な話してないから

彼がどんなことしてるのかとか

趣味とか

何にも知らない

でもアタシは

久しぶりに鼓動の高鳴りを感じていた
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