月の輪
かわいい、か。
まだまだだな、俺。カッコイイくらい言ってもらえるようにならねぇとな!
「おねえちゃんっ。」
お。千歳の妹。
「蜜柑。どうしたの?」
あ゙、千歳のカオが女の子になった。
「榊、きちんと紹介していなかったな。この子は妹の蜜柑だ。」
「んぁあ…。」
知ってるよ。
「蜜柑には先読の力があって、お前のことも夢で観ていたんだ。」
「ふぅ~ん。」
てゆーか、いいなぁだっこしてもらえて。
「はっ!!何考えてんだ、俺ぇ!!」
「?何を考えていたのだ?」
「いやっ!何でもねぇっ!」
ん?
「いっぱい、きず。いっぱいちがでてたのに…。なおったんだ!すごいねっおにいちゃん!」
は?何言ってんだ?
「何言ってんだ?千歳、どーゆーこと?」
目の前には真っ青な顔した千歳がいた。
「え?おい!千歳っ。大丈夫か!?」
肩に触れるとわずかに震えていた。
「さか、き。」
「なんだ?」
「今日は、絶対にこの家から出るな。いいな?」
「え?何なんだよ!それ!大丈夫だよっ。俺ケガしてねぇし!」
千歳が力無く首を振る。そして、弱々しく言った。
「予知だ。蜜柑には未来でお前が傷付く様が観えたのだろう…。」
「だっ、大丈夫だ!俺は妖怪!そんなケガなんかしねぇ!」
「榊…。」
「俺より、ソイツを信じんだな!?」
「…。」
チッ。わかった。当たり前だよな。俺なんか信じらんねぇよな…。
「でもな、俺はソイツを信じねぇ!」
俺は羽を広げ、窓から飛び出した。知るか!何が先読だ!俺は信じるもんか!
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