月の輪
榊…。どこに行ったんだ!!頼むから無事でいて…!


「くしゅんっ!」
アレ?風邪治ったのに…。ったく、千歳のヤツ。心配しすぎなんだよ!
「ん?」
何だ?あの集団。戦にでも行くのか?

「月の国さえモノにできれば、この世は手の平の上だ!」
「いい女いるかな~。」
「御影一族って、ホントに不思議な力があんのか?」

「御影…?」
月の国とも言ってたな。どういうことだ?
「まさか…。」


「っはぁっ!ふぅっ!」
だ、だめ…。も、走れない。
「はぁ、はぁ…。さ、かき…。」
どこ?
“バンッ!”
銃声!?どうしよ、逃げなきゃ!
「足が…。」
せめて、隠れなきゃ。


「貴様、何の真似だ!!いきなり現れた上に、同士を次々と殺して…。」
「御影は殺させない!月の国にも手を出させない!」
「ちぃっ。月の国の者か…。」
違う。月の国のヤツじゃない。でも、千歳を守らなきゃ。
「俺は妖。人には負けない。」
少しだけ、本気でいく。
「う、ぅわああああ!!!!ばっ化け物!!!」
「違う!俺は妖だ!」


「榊?」
榊の声がした。…気がする。フラッと足が動いた。声の方へ。


「…まだいるのか…。」
殺しても殺しても沸いて来やがって…。
ちょっと、疲れてきたかも…。
「死ねやぁあぁ!!!化け物ぉぉ!!」
「誰がっ。」
いってぇ!ちょっと手に掠りやがった!
「う゛っく…。」
ったく、これだから人間は!これじゃ、護れない。術、使うしかない。
「仕方、ねぇよ。」
そうだ、仕方ない。
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