月の輪
さっきから千歳の様子がおかしい。
「大丈夫か?」
「あっ!うん、大丈夫だぞ!」
ほら、やっぱりおかしい。
「俺、明日帰る。」
「…え…。何、で?」
「いや、ほら、だってアイツら悪さしないように色々しなきゃだし、それを一族に頼まなきゃだし。」
やることは沢山ある。
たかが人間されど人間。そこはしっかりしとかねぇと。
「帰って…来ないのか?」
「?何?寂しいのか?俺がいないとさ。」
からかい半分、期待半分だ。
「…そうだ。寂しい。すごく寂しい。」
「…千歳。」
「私の前から居なくならないでっ。置いてかれるのは、もうやだよぉ!!」
「!わっわっ、俺が悪かった!帰るとか言って悪かった!!」
だから、泣かないでくれっ~!
「う、うぁぁぁんっ!」
「ち、ち、千歳!!大丈夫!!大丈夫だから!!!な?泣くなよ~!!」
ど、どうしたらいいんだ…。
そうだ!
「じゃあ、来るか?一緒に…。」
「ふぇ?」
おしっ!泣き止んだ!
「そう!妖界に!」
「それって…。」
「うん?」
「私を妻に迎えるということ…なのか?」
「!?」
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