月の輪
随分、違う。人間と。
「で、俺は、部屋を譲った。」
「何処に居たんだ?」
「木の上。金木犀の。…すぐ飛んで行けるように。」
「何処に?」
「…。…お前の…千歳の所。」
「…。っ!」
顔が熱い!
「ホントなんだぞ!!俺、ずっと会いたかったんだ!待ってたんだぞっ!」
「な、わ、え…?」
待ってた?私に逢うことを?
「何だよ…。そんな顔すんなよ。本当なんだぞ!」
榊も顔が紅い。かわいい…。
「私の事を待ってたって、どのくらい?」
「忘れた。…けど、数十年かな。」
す…、数十年?
「お前、幾つだ?」
「忘れた。お前の倍以上は生きてるな。」
「…。」
そんなに?待っててくれたんだ…。金木犀の木の上で。
「生きる長さは違うけど、行き着くところは同じだ。」
「有難う。待っててくれて。これからは私が、死ぬまで傍に居るから…。」
「あぁ、俺も死ぬまで千歳の傍に居る。護り通す。一生、大切にする。」
…私も一生大切にするよ。好きだよ、大好き…。
「榊…。」
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