クマさん、クマさん。




久しぶりに見た番号。


削除できなかった番号。



プルルルル



鳴った・・・番号が変わってなくて一先ず安心だ。



プルルルル



プルルッ『もしもし?誰?』



「・・・俺」


声が震える。



『もしかして・・・朋秋?』


「ん」


4年振りに聞いた菜摘の声。



『・・・久しぶり。元気?』


「まぁまぁかな。菜摘は?」


4年振りに声に出した"菜摘"と言う言葉が心地好い。



『あたしは幸せだよ』


俺は元気か聞いたのに、菜摘の答えは幸せ・・・。



菜摘変わったな・・・――――



「菜摘・・・」


『うん?』


「ごめんな」


『え?』


「俺、菜摘と付き合っていた時他に女がいた」


『・・・』


「1人の女では満足できないから他の女も作る・・・そう思って、いつも3、4人女がいた」



いつも俺は女を馬鹿にしていた。


『・・・』


「菜摘にはバレてないと思ってたのに、バレてたよな」


『・・・移り香でね』


「・・・傷つけてごめん」


『・・・朋秋』


「別れた日、菜摘に他の人に気持ちがあったって言われた日・・・ショックと悔しさと悲しみ・・色んな気持ちがいっぱいにあって・・・正直菜摘に怒りを感じた。

でももしかすると菜摘も俺の浮気に気がついた時、そう思ったんじゃないかって最近思って・・・」


俺は今まで自分の事しか考えたことなかった。


菜摘の気持ちも、他の女の気持ちも考えようともしなかった。



・・・本当、最低な男だ。

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