クマさん、クマさん。
一瞬驚いた顔をして、クマさんは優しく笑った。
「ありがとう」
「・・・・うん」
それがクマさんの答え。
「俺ね、アメリカに行くから大切な人・・・作らないことにしてるんだ」
クマさんは誰よりも優しい人。
「そっか」
「でも・・・俺ね、ずっとなっちゃんに伝えたかったことがあるんだ」
「なに?」
「ずっと好きだったよ」
「え・・・?」
「中学の頃から、ずっと好きだったよ」
もう声なんて出なかった。
出るのは涙しかなかった。
クマさんがあたしを・・・?
「好きだから高校も聞いた」
そういえば、あたし以外にクマさんが女の子に志望校を聞くなんて見たことなかった。
「高校行っても忘れられなかった。
でも連絡する勇気もなかった。
"彼氏いるから"って言われるかもって思ったら何も行動に写せなかった」
恥ずかしそうに頭をかくクマさんなんて初めて見た。
「でも3年になってアメリカの大学を行くこと決意してからは、なっちゃんを諦めた」
「・・・」
これがクマさんの答え。
『過去』にクマさんの頭にあたしがいても
それは『過去』で『今』にあたしはいない。
「・・・ごめん」
クマさんはあたしに頭を下げた。