クマさん、クマさん。




「クマ、呼んでる」


高校に入学して、2年。


「・・・分かった」




教室に出ると、顔を赤くした女の子が立っていた。



「熊谷くん、放課後・・・屋上に来てくれないかな・・・?」



女の子を見たら何があるかは雰囲気的に分かる。


「分かった。行くよ」


「待ってますっ」


女の子は一礼すると走って自分の教室に走って行った。




教室に入ると高校でできた友達のカニが不機嫌な顔をしながら近づいて来た。



「またお前かよ~」


「毎回カニうるさい」


「カニ言うなっ」


「だってお前、蟹原《カニハラ》じゃん・・・」


「下の名前で呼べよ!つーかなんでだっ!?
なんでクマばっかりモテるんだよ!?体型は大きいのに、言葉使いが優しいからかっ!?」


カニは多分うるさいからモテないんだよ・・・。



「別にモテなくていいよ・・・」


カニには聞こえないぐらいの小声で言った。


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