クマさん、クマさん。
6年もあったんだ。
なっちゃんも好きな男ぐらいできるよな・・・。
なっちゃんはまだ俺の存在に気がついていない。
隣にいる男の話しに相槌をしているようだ。
なっちゃんに男ができた。
所詮俺は過去の人。
それなら、俺はなっちゃんの目の前に出ていっちゃいけないんじゃないのか・・・?
一瞬頭の中でそう思った。
でも目の前にいるなっちゃんはなんだか不自然に見えた。
俺が知っているなっちゃんは
もっとキラキラした笑顔で笑っていて、
周りの人も笑顔にさせる力があった。
なのに、今目の前にいるなっちゃんはまるで偽りの笑顔。
作った笑顔で笑っていただ。
なっちゃん・・・なんで心から笑っていないの・・・?
なっちゃんは幸せじゃないの・・・?
それなら・・・俺は・・・――――
決意を固め、俺は信号が青になった横断歩道を足を進めた。
前だけを見て進む。
なっちゃんは俺に気づいたのか、目を見開いたまま俺を見ていた。
俺たちが1歩1歩近づいて行く、そしてなっちゃんとすれ違う時・・・
「なっちゃん?」
俺はなっちゃんに声をかけた。
なっちゃんは俺を見つめる。
そして・・・―――――――――