甘いキスの魔法
「…なんでこんなとこいたの?」
泣き止まない梨音を少しだけ道路の端っこに寄せて、言う。
身体が震えているし、やっぱり苦手なんだ。―――男が。
「……っ。…宮…崎…せんぱ…
が…通…る道…だ、っ…て…」
涙を、手で拭き取るとそう言った。
「…俺?」
…………なんで俺なんか?
「…今日、私…にずっと
付き添ってた…って
聞い…たのでお…昼ご飯も
た、食べ…てないから、
お腹…空いたかなと思って。」
梨音はそこまで言うとそのあとは言いにくそうに言葉を濁した。