加害者は俺、被害者は私。

「そう…ゆっくりでいいよ…」

「ん…はい…」

今、右半身のリハビリ中。
両手が使えないから、立つ練習が出来ないのが残念…(泣)

「はい、息吐いてー…」

「ふー…」

「そう。ゆっくり…感覚を取り戻したイメージを浮かべるんだ」

イメージ…
私は、右半身が動く。
右手が動く。

ピクッ

「??」

「…珀ちゃん…」

「せっ先生、なんか今、指先がピクッてした気が…」

「すっすごいよ珀ちゃん!!!」

「うきゃっ!!」

秋頼先生に抱き着かれた。

「はっ珀!?今…俺見たっ!!指先、動いてた!!」

そして、珱平にも右手を握られた。

……う…嬉しい…
私は、胸がいっぱいになった。
たったこれだけのことだけど、私にとっては大きな進歩だったから。



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