恋愛倶楽部 -love-
両手両膝をついて倒れた牡丹。
目の前には、同じように倒れた別の人。
「すみません、話に夢中になってしまって。
不注意でした」
「ったく、誰かと思えば本伊かよ」
素直な謝罪にため息を零す、その相手はもちろん。
「牡丹だけが悪いわけじゃないでしょ。
寿羅だって周り確認しないから、ぶつかるんだよ」
最近じゃ、クラスにいてもケンカになる。
相性が悪いのかと聞かれれば、悪くはないはずなんだ。
ケンカになるのは、たぶん似た者同士だからだよね。
「つーか蘭、てめーのことまた箕笙が探し回ってたぞ。
いい加減ウザくて迷惑だから、やめさせろよ」
あぁ、風音ね風音。
「そっかぁ、それはお疲れ様」
「……ケンカ売ってんのか」
険悪なムードになりかねないあたしたちの間に入って、牡丹が思い出したように話し出す。
「そういえば、今日は弓道部のほうで呼ばれているんです。
申し訳ありませんが、部室には遅れて行きますね」
慌ててそれだけ告げると、小走りで去っていった。
牡丹って、動作までとことん可愛いよな。
どうやったら、ああなるんだろう。
まず、あたしには無理だけど。
「俺は飲み物買いに行ってくる」
目が合うと、寿羅も説明してから外に出て行った。