恋愛倶楽部 -love-



到着した部室のドアを閉めながら、呟いた独り言。

友達以上恋人未満って、難しい。

あたし的には、奏斗と牡丹が付き合ってくれれば1番なんだけどな。


……無理な話だ。



本日、数回目のため息。


ぼーっとしたまま振り返って、部室の中を見た瞬間

「はっ!?」

あんまりびっくりしすぎて身震い。



思わず後退りをしたから、閉めたばかりのドアに背中をぶつけた。


奏斗の言った通り、開けっ放しの窓。

少し生ぬるい風が、重石の下の紙を揺らす。



「なんで、いるの?」

風音愛用のソファーに座って、あたしを見上げてる凪兎。


「会いたいから、会いに来た」

「そうじゃなくて、どうやって」


ここ学校だよ?

しかも凪兎は他校の生徒でしょ?


「あぁ、それはもちろん窓から不法侵入して」

悪びれもなく話すから、呆れてものも言えない。


窓を開けたのは、奏斗。


ってことは、

「凪兎、ひょっとして奏斗と仲良しなの?」

さっき奏斗が言ってたうさぎって、凪兎の“兎”って意味だったんじゃ……



「んー、ま、そうだね」

今とてつもなく絶望を感じたんだけど。






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