不器用な関係
曖昧な関係

後輩から彼女へ

『同じ高校に入学したら俺の彼女になってな。』


それは、まだ冬の寒さが抜けない2年前の3月のことだった。



私はすっかり忘れてしまっていた――今の今まで




「俺の彼女になって。
葉月。」


2年前より低い声で、初めて名前を呼ばれたことに思いがけず心臓が“ドクン”と高鳴る


目の前にいる身長差20センチの先輩を見上げると、先輩はふわりと柔らかく微笑んだ


「……はい。」


なぜかあの時のように、そう答えてしまったのは 春の暖かさせいなのか
先輩の笑顔のせいなのか

私、日向 葉月は青蘭高校に入学してすぐに“彼氏”ができてしまったようだ


未だにこの状況を理解できていない私を先輩は更に迷宮へと誘うように
私をぎゅっと抱きしめた

痛いくらいにきつく抱きしめられて、私の顔は自然と先輩の胸元に押し付けられてふわりと爽やかな香りに包まれる


私はそっと目を閉じて、その香りを深く吸い込んだ


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