不器用な関係
東門に7時30分


部活が終わるその時間に待ち合わせて帰宅
それが日々の日課になって4ケ月


「渉、今日は途中まででいいよ。」


繋がれた左手でクイッと渉を引っ張った


「何で? 」


「今日は母さんと外で待ち合わせなの。だから、家には真っ直ぐ帰らないから。」


やけに上機嫌だった今朝の母親を思い出して、歩調を速めた


無言のまま私の歩調に合わせてくれる渉に、繋いでいた手を少しだけ強く握った


私と渉の関係は、この繋がれた手のようなもの



―どちらかが離してしまえば終わる関係―


それでも私は構わなかった
渉が私を必要としてくれているのなら、私は最後までその役目を真っ当するだけ


渉は、母との待ち合わせだった駅まで私を送ってくれるといつものように その長い腕でぎゅっと私を抱きしめて帰っていった


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