不器用な関係
なかなか話し出さない渉

(‥やっぱり言いにくいのかな。だったら、楽にしてあげるよ。)


「渉、別れたい。今日までありがとう。」


にっこりと笑顔で別れを告げる




「!!! ‥‥‥葉月はそれがいいのか?」


両手を握り締めて下を向いたまま渉はボソッと呟いた


「うん、そうしたい。」




「‥‥‥‥分かった。」



渉のその言葉を確認すると、私は渉に背を向けて正門に向かって歩きだした



「―――葉月――」


渉に呼ばれた気がしたけど振り返ることができなかった


終わりは呆気ないものだった
涙なんてでるはずない
そう思いたかったのは私の気持ちだけで、感情は素直に涙を溢れさせた


「私は渉が好きだったよ。」


一度も伝えることのなかった気持ちに、終わってしまってから気が付く馬鹿な私


そんな私を嘲笑うかのように太陽は容赦なくギラギラと強さを増した


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