不器用な関係
一人泣かない彼女を女子は裏切り者を見るような軽蔑の眼差しを向け、男子は彼女を可愛いげがないと言った


でも、そんなのは上辺だけ


彼女は一人泣いていた
誰もいない体育館で


試合後は生徒の父兄が経営している飲食店で、反省会が行われた


反省会にはあれだけ泣いていた女子の弱々しい姿はなく、皆私服に着替えていてお互いの格好を褒めあう様子に寒気がした

癖になってしまった俺は反射的に彼女を探す


騒がしい集団に彼女の姿は無く、なんとなく呼ばれるように体育館へ足をむけた


ボールを抱えゴールを見つめるその大きな瞳からは、スーッと一筋の涙が頬を伝い、彼女の悔しさや悲しみが痛い程伝わってきた


“ドクン ドクン”


見てはいけないものを見てしまった様な罰の悪さと、それでも彼女から目を離せない


俺の心臓の音と彼女のドリブル音がリンクする





俺は日向 葉月に恋をした

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