GOD GAME

大切な想いと失ったもの




真っ白な世界は少しずつ色付いていき、車の中を描きだした。

止まっている…

「お兄ちゃん!

先輩が目を覚ましたよ!

先輩!」

僕の傍から理沙ちゃんの声がする。

泣いているのか、声が…

「俊★

お疲れさま★」

ここで、ようやく辺りが見えるようになってきた。


僕は救急車の中で横になっていた。

右上には理沙ちゃんがいて、涙を拭っている。

その横に、奏ちゃんが笑っている。

そっか、この救急車はあの時の…


刹那、救急車に水城が乗り込んできた。

心配で心配で仕方ないって感じだ。

しかし、水城の表情は一瞬で笑顔に変わった。

「頑張ったな俊!

俺達の勝ちだ。

俊の手柄だ!」

水城はそう言って、拳を突き出してきた。

僕はすぐに起き上がり、拳を握り締めた。

昔から、水城とよくしているこの挨拶。

僕は、握り締めた拳を水城の拳に重ねた。

ゴッドワールドにはない、温かみ…
それがひしひしと伝わってきたんだ。

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