Dear...

過去

命には期限がある。
期限がない命なんてない。

それが、その期限が少しだけ早かっただけ。
いつ終わってしまうかが、定まっているかだけ。

もう、長くないって分かってたの。
これが最後の賭けだぁって。
そう思ってここに来たの。

『後悔だけはしないように』

無理やりに笑って家を出てきた。

そう、思ってたのに。

君に出会ってしまった瞬間、
『生きたい』なんて思ってしまった。

消えかかっていた思いが、
蘇って、溢れてきてしまった。


ねぇ、何も知らずに、
君は私に『死にたい』と言った。
本当に私のこと、何もかも。

知っていたら、そんなこと言えるわけないよね。

でも、その気持ちを知ったからこそ、
得るものがあった気がするの。


奇麗事じゃ生きていけない人生を、
奇麗事で染めてみたかった。

黒なんていらなかった。
ただ、綺麗な色を使って、自由に描いてみたかった。



今では、もう言い訳になってしまうかな。







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